食品を選ぶとき、原材料や添加物表示を前に、少し立ち止まってしまったことはありませんか?
「どこを見ればいいのかわからない」
「全部読まないといけない気がして、なんだか疲れる」
そんな声はとても多く、原材料表示は「読みこなすもの」と身構えられがちですが、実際のところ「全部読む必要はありません」。難しい専門知識は必要なく、読み方の“コツ”をひとつ知るだけで、食品の選び方は驚くほどシンプルになります。
この記事では、初心者が迷いやすいポイントをやさしくほどきながら、原材料・添加物表示の「見るべきところだけ」をしっかり押さえる入門ガイドとしてまとめました。
- なるべくシンプルな食品を選びたい
- 家族に毎日食べさせるものは少し気をつけたい
- でも、あれもこれも気にして疲れたくない
そんな方にこそ役立つ内容です。まずは、食品表示の中で「いちばん見る価値のある場所」から、一緒にチェックしていきましょう。
原材料欄の基本は「上から3つ」だけ
食品表示の中でももっとも重要なのが「原材料欄」です。そして、この欄には大きな特徴があります。
原材料は「使われている量が多い順」に並ぶ
つまり、上から3つを見るだけで、その食品の「性格」がほぼわかる。これが、迷わず食品を選ぶうえで最も役立つルールです。たとえば、
菓子パン
小麦粉・砂糖・植物油脂・卵・マーガリン/膨張剤……
最初の3つ(小麦粉・砂糖・油脂)が食品の本体。それ以降は、仕上げのための素材や添加物が少量入ります。
加工肉
豚肉・水あめ・植物性たん白・食塩・香辛料/発色剤……
最初の3つで「どんな加工工程なのか」が、ほぼわかります。
ドレッシング
食用植物油脂・醸造酢・砂糖・食塩・香辛料/増粘剤……
「油が主役なのか、酢が主役なのか」がすぐわかりますね。
原材料欄全文を読む必要はまったくなく、「最初の3つで全体の方向性をつかむ」これだけで食品の選び方は格段に楽になります。
添加物欄はまとめて書かれる
原材料表示では、食品に含まれる「添加物は後ろのほうにまとめて記載される」というルールがあります。これは読みやすさのための仕組みで、原材料と役割が異なるものを区別するためです。
多くの食品で見られる、
/乳化剤、膨張剤、香料
というような書き方は、「ここから先は添加物です」という境界を示すためのもの。「/(スラッシュ)」は、添加物をひとまとめとして扱う合図だと理解しておけば十分です。
添加物の名前は専門的に見えますが、それは「どんな働きをする成分なのか」を正確に分類するため。読めない=危険、というわけではありません。まずは、
・原材料(食品の中身)
・スラッシュ以降の添加物(調整のための素材)
この2つを分けて読めるようになるだけで、食品表示の理解はぐっと進みます。
「何がたくさん入っているのか」
「どこからが調整のための成分なのか」
この区別がつくことが、迷わないための第一歩になります。
「添加物が多い=悪い」ではなく、「目的」を見る
原材料表示で迷いやすいポイントの一つに、「添加物がどれくらい入っているか」があります。SNSでも「添加物○種類」などの情報が多く、数が多いほど良くない、と感じてしまいがちです。しかし、実際には “数そのもの”は食品選びの判断基準としてあまり役に立ちません。大事なのは、
- なぜ使われているのか
- 自分にとって必要かどうか
この2つの視点です。たとえば、
- ハムに発色剤が入るのは、肉が茶色く変化したときに、劣化したように見えてしまうことを防ぐため。
- ドレッシングに乳化剤が入るのは、水と油が分離しやすい性質を補うため。
- 揚げ菓子に酸化防止剤が入るのは、油が傷むと風味の劣化だけでなく有害成分が増えやすくなるため。
つまり、添加物は“必要のないものを足している”のではなく、“食品そのものの弱点を補っている”という側面があります。それを踏まえると、数ではなく目的を見るほうが、食品選びの軸が安定します。
「香料が入っているけれど、食べる頻度は月に1回」
→ 気にする必要はほとんどない。
「毎朝飲む飲料に甘味料が多い」
→ 習慣として摂取量が積み重なるので、少し気をつける価値がある。
こうした「自分軸の判断」ができるようになると、必要以上に不安にならず、表示と上手に距離が取れます。
原材料の「順番」だけで読み解けること
原材料表示は量の多い順ですが、この順番を見るだけでわかる情報は意外と多いのです。
① 甘さの強さ
「砂糖」「果糖ぶどう糖液糖」が上位にある → 甘みが強い食品
「小麦粉」「乳製品」が先 → 甘さ控えめ
② 油の使われ方
「植物油脂」が早い → 油でコクを出す食品
「バター」「マーガリン」 → 風味の傾向がわかる
③ 加工度の目安
主原料 → 食品素材
副原料 → 加工方向
スラッシュ以降 → 調整
この順番は “どの工程に比重があるか” を表しているので、慣れると食品の構造がすぐに見えてきます。
原材料名の「言い換え」にも注意してみる
同じ内容でも表現が異なることがあります。たとえば、
- 砂糖
- 上白糖
- グラニュー糖
- 糖類
すべて甘味をつける目的ですが、「糖類」は複数の糖をまとめた表現です。また、
- 植物油脂=どの油か特定されない
- なたね油・ごま油=油の種類が明確
のように具体性の差があります。入門としてまず知っておきたいのは、
表現があいまいになるほど「カテゴリーの幅が広い」
ということです。読めなくてもOKですが、「なんとなく方向性の幅が広いな」と感じられるだけで選び方が変わってきます。
原材料表示は「比較」すると、わかりやすい
原材料表示は、ひとつの商品だけ見てもつかみにくいことがあります。でも、AとBを並べて読むだけで、急に理解しやすくなるのが特徴です。
たとえばドレッシングを比べてみると、
A:食用植物油脂、醸造酢、砂糖、食塩/増粘剤
B:醸造酢、食用植物油脂、食塩、砂糖、たまねぎ
Aは「油が主役」
Bは「酢と野菜が主役」
という違いがすぐ見えてきます。順番が変わるだけで、食品の“性格”がくっきり分かれる。これが、原材料表示を比べる読み方の魅力です。複雑に考える必要はなく、「どちらが自分の欲しい方向に近いか」を判断できれば十分です。
原材料表示は“すべて”を語るわけではない
原材料表示は食品を選ぶための大事な手がかりですが、実は、表示されない成分が含まれる場合があります。その代表例が キャリーオーバー。
これは、原材料として使われた調味料や加工品に含まれていた添加物が、最終的な食品にも わずかに持ちこされる という仕組みです。法律上、「その添加物が最終食品の製造に目的を持って使われていない場合」は表示を省略してもよいとされています。
つまり、
表示=すべての成分の一覧ではない
ということを、知識として軽く持っておくと役に立ちます。
もちろん、それがすぐに良い悪いの判断に結びつくわけではなく、食品を選ぶときの「背景知識のひとつ」として知っておく程度で十分です。キャリーオーバーの考え方や具体例については、下記の記事でまとめています。

おわりに
原材料表示は、食品を選ぶときの強い味方です。すべてを読み込む必要はなく、「上から3つを見る」「スラッシュ以降が添加物」という基本だけで、食品の中身はぐっと理解しやすくなります。
また、添加物の“数”ではなく「なぜ入っているのか」という目的に目を向けると、必要以上に不安を感じなくなり、落ち着いて選べるようになります。そして、原材料表示は便利な情報ですが、キャリーオーバーのように表示されない成分が存在することもあるという背景を知っておくと、より自分に合った基準をつくりやすくなります。
食品選びに「絶対の正解」はありません。
- 毎日食べるものはシンプルに
- 便利さを使いたい日は迷わず使う
- 家族の暮らしに合う基準で選ぶ
そんな小さな判断を積み重ねることで、自然と“わが家のちょうどよい選び方”が育っていきます。原材料表示は、そのためのヒントをくれるもの。今日から少しだけ読み方を変えるだけで、あなたの食品選びはもっと楽になります。
店主より


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