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原材料表示だけでは見えない『キャリーオーバー』のしくみ

キャリーオーバーとは

原材料表示は、食品を選ぶときにとても役立つ情報ですが、「表示をちゃんと見ているのに、なぜかモヤっとする」そんな感覚を持ったことはないでしょうか。

食品づくりには「ラベルに書かれるもの」と「製造工程の中だけで使われるもの」があり、すべてが表示に反映されるわけではありません。

そのため、ごく少量ながら最終製品に残る成分があっても、ラベルには書かれないケースがあります。これがキャリーオーバーと呼ばれる仕組みです。難しく考える必要はなく、「表示にもこうした例外がある」まずはその事実だけを知っておけば十分です。

この記事では、専門用語に踏み込みすぎず、食品づくりの流れの中でキャリーオーバーがどう生じるのか、そして、原材料表示を読むうえで“どの程度知っておけばいいのか”を整理していきます。

目次

キャリーオーバーとは?

キャリーオーバーとは、食品をつくる途中の工程で使われた成分が、役割を終えたあとも最終的な食品にほんの少し残ること。ここで大切なのは、「意図して加えた添加物」とは位置づけがまったく違うという点です。

家庭での調理に置き換えるとイメージがしやすく、

  • 煮物に使った下ごしらえの塩が少し残る
  • カット野菜をゆでるときに使った下処理水の成分がわずかに移る

こうした “途中の工程の名残り” のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。

加工食品は複数の素材を組み合わせて作られるため、こうしたキャリーオーバーはとても一般的に起きます。特別なことではなく、食品づくりの構造上、自然に発生する現象です。

なぜ表示されないのか

キャリーオーバーが原材料欄に記載されない理由は、日本の食品表示制度が採用している明確な考え方にあります。

● 表示するもの

最終的に食品の中で“働く”成分

● 表示しないもの

途中の工程で役割を終えた成分

キャリーオーバーは多くの場合、

  • 最終食品の品質に影響を及ぼす役割をもっていない
  • 目的のために加えられたものではない
  • ごく少量で、工程的な名残にすぎない

と整理されるため、原材料欄には記載されません。これは「隠されている」というより、“最終食品として機能する成分だけを書く”という、表示制度の整理によって省かれていると理解しておくほうが正確です。制度上のルールであって、例外的な抜け道ではありません。

知っておきたいポイントはひとつだけあります。

原材料表示は“最終食品の姿”を示すものであり、途中工程すべてを写しているわけではない。

この前提を知っているかどうかで、表示の読み方は大きく変わります。

どんなときにキャリーオーバーが起きやすい?

キャリーオーバーは食品加工の構造上自然に生まれるため、特別な食品だけで起きるわけではありませんが、傾向として起きやすい場面があります。

1. 複数の素材を「合わせて」作る商品

例:調味料、合わせだし、加工調味液、香辛料ミックスなど
→ 下味づけの工程で使われた成分が最終品にわずかに残ることがあります

2. 下処理・下味が複数工程に分かれている食品

例:加工肉、揚げもの、加工野菜
→ 下味工程 → 加熱 → 成形、などの過程で名残が生じやすいです

3. 仕入れ素材自体がすでに加工されている場合

例:調味液で味付けされた具材、下処理済みの香辛料など
→ 素材の側に使われた成分が、そのまま最終食品に移ることがあります

これらはすべて「意図した添加」ではなく、食品づくりの流れの結果として起きる構造的な現象です。

キャリーオーバーとどう向き合う?

キャリーオーバーを知ることで、必要以上に不安になる必要はありません。大切なのは、

  • 表示に載らない名残りがあることも知っておく
  • そのうえで、自分の基準で食品を選べるようになること

キャリーオーバーの有無は原材料表示だけではわからないため、「表示がすべてを語るわけではない」という小さな前提を心においておくだけで十分です。表示に書かれている内容は、もちろん大切な情報です。でもそれは、食品づくりの「最後の一枚」。すべての工程を写した設計図ではありません。

  • 毎日食べるものはなるべくシンプルに
  • 時々食べるものは気にしすぎない
  • 調味料や加工食品は「使い方」でバランスをとる

といった生活軸での判断が、役立つようになります。

おわりに

キャリーオーバーは、食品表示を正しく理解するための「前提知識」のひとつです。食品づくりには、

  • 表示に書かれるもの
  • 工程の中だけで使われるもの

があり、その一部が最終製品にわずかに残ることがあります。これは特別に怖がるべきことでも、対策が必要な問題でもありません。ただ、こうした例外があることを知っておくと、原材料表示を“完璧な一覧表”として扱わず、仕組みをふまえて判断できるようになります。

食品選びを難しくするための知識ではなく、「表示を正しく読むために欠かせない小さな背景」である、この程度にとらえておいて大丈夫です。

店主より

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